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今回のブログは競技者向けの内容になります。普段あまりトレーニングに時間を割くことが出来ない方用の導入方法はまた後日に書きますね。

昨年の12月に「高地トレーニングのデメリット」という題でブログを書きました。

その中では
「トレーニングクオリティが落ちてしまう事が最も大きな問題である」
という事も書きました。(まだ読んでいない方はぜひ読んでくださいね)
では、Koachのような低酸素室でのトレーニングはどのように取り入れていけば良いでしょうか?

補強トレーニングとしての低酸素トレーニング

普段からしっかりとトレーニングをしている人であれば、基本は、ウエイトトレーニングなどの補強トレーニングと同じ位置付けとして行う事が大事です。
つまり決して「低酸素室でのトレーニングがメイン」ではなく、低酸素トレーニングを行うことで
より普段の練習強度をあげることができるようになる
ことが大事です。

そこでいくつかトレーニング導入例を紹介しましょう。

 

低酸素室内トレーニングの導入例

◆ウォーミングアップやクールダウンに取り入れる。

メインの運動は、しっかりと負荷をかけたいので外て行い、強度の比較的低いトレーニングパートを低酸素室内で行う。

◆LSDなどのゆっくりとしたペース走の日に取り入れる。

例えばランナーであれば低負荷トレーニングの日が必ずあると思います。その日のメニューを低酸素室内で行うのはオススメのトレーニングの一つです。

◆75秒程度までの高強度運動

これは特にスプリンターや球技などの選手にオススメの方法です。
例えば、低酸素室内や高所で50メートル走を行なっても平地とタイムは殆ど変わらないのは想像がつきますよね。高所では空気抵抗が少なくなるためタイムが良くなったりもします。実際には400mを走っても低地とタイムはそれほど変わりません。
では3000メートル走ならどうか? これはタイムが落ちるのはなんとなく想像できますよね? では1000mなら?いや800mならどうでしょう? ちょっとわからなくなってきますよね。

じつは研究では75秒程度の運動までならタイムはほぼ変わらないと言われています。
自転車の1000m独走は男子競輪選手なら60秒〜70秒
現在冬季五輪が行われていますが、小平選手と高木選手がメダルを獲得したスピードスケート女子1000m、表彰台に上った3人のタイムは全員73秒台!
陸上選手なら400m〜500m走くらいが良いでしょうか。

この75秒まで程度の運動ならタイムが落ちることがありません。つまりトレーニングクオリティを落とすことなく実施できるギリギリの高強度と言えます。

しかし、体の中で起こっているエネルギー代謝が平地とはまるで違うのです。←ここがキモ

低酸素室内では、酸素が少ないのでエネルギー代謝が自然と解糖系メインとなります。
例えば400m走では好気性代謝と嫌気性代謝が半々くらいと言われていますが、解糖系の嫌気性代謝がメインになってしまうのです。運動の質が変わってしまうのですね。
その中でトレーニングを積み、いざ酸素の豊富な平地で競技を行えば、これまで無理やり解糖系に頼ってきたエネルギー機構を行わずに済みます。
高地トレーニングの効果の一つに「血中乳酸濃度が上がらなくなる」というものがありますが、そのメカニズムの一つがこの作用ではないかと言われています。

ではあまりオススメできないトレーニングは

例えば「タバタプロトコル」
これはとても良いトレーニングですし、低酸素室内で行うとメチャクチャきついトレーニングになります。
しかし、平地と同じ運動強度でのタバタトレーニングを低酸素室内でおこなった場合、1〜4本目くらいまでは平地と同じようにできますが、5本目以降くらいから平地とは同じように出来なくなってきます。
この「出来ない」イコール「トレーニングクオリティが落ちている」ですので、出来ないトレーニングは本来なら低酸素室内で行わない方が良いです。
無理に行うとトレーニングクオリティは低いのに疲労困憊になり(やった気にはなる自己満足トレーニング)平地での練習にも支障をきたす事にもなり、結果調子を落としてしまうケースが多々あります。

一方で普段、平地でタバタトレーニングを取り入れていない人であれば、強度を調整しながら、様子を見て取り入れても良いかもしれません。

いかがでしょう?

苦しいだけのトレーニングは時には毒になります。
工夫しながら取り入れたいですね。